森中 定治 日本生物地理学会会長
小出 裕章 京都大学原子炉実験所
森中 定治 綾瀬川を愛する会,NPO「トリウム熔融塩国際フォーラム」
後藤 政志 原子力市民委員会委員,NPO APAST理事長
飯野 謙次 特定非営利活動法人 失敗学会副会長
自由民主党衆議院議員
ジャーナリスト,元NHKプロデューサー
東京大学,ITS
前原子力委員会委員長代理
社団法人スウェーデン社会研究所所長
東京大学名誉教授,星槎大学学部長
NPO「トリウム熔融塩国際フォーラム」理事長
後藤 政志 原子力市民委員会委員,NPO APAST理事長
飯野 謙次 特定非営利活動法人 失敗学会副会長
加藤 登紀子 歌手
放射能による年間死亡者は何人,タバコでは何人というように一般社会では使われます. 煙草の方が死者数が多い.原発を止めよというならその前にタバコを禁止せよなどと言われます. なぜこういう発想になるかというと,物質の毒の強弱が一般に半数致死量(LD50)であらわされるからです. 50%の実験用ネズミが死ぬ量が,物質Aでは○○mg,物質Bでは○○mg, よって物質Bが物質Aよりも○倍強いといった具合です.数値で表され, 専門家非専門家を問わず誰にもわかりやすく,インパクトが非常に強いのです.けれども, 放射能の毒性はそうではないのです.例えばプルトニウムの微粉末が自然環境に広く放たれれば, 2万年以上生物の生と死を繰り返して循環し,あらゆる生物に遺伝的変異を促します.ガンや白血病, 奇形児の誕生などは可視的なごく一部に過ぎません. 人間が意図しない遺伝的変異をあらゆる生物の次世代に与えます. 次世代の人類をこういう生活の場におくことを現世代が是とするか,こういう視点が大切です. こんな点は,社会学者や他の自然学者では理解しにくいのです. 我々生物学者こそが一般社会に明示すべき視点だと思います.
このような意図から,今年は放射能を取り挙げ,小出裕章先生(京都大学)に通常のご講演をいただく予定でした. ところが小出先生は1.敵地,2.現地,3.若者というご希望を出され,対論を望まれました.私は, 小出先生が”敵地”と示されたことに感動しました.というのは,これが民主主義の根幹に触れると考えるからです. そしてあえて私が対論者となりました.なぜ反原発の私が原発の維持/推進の立場で対論ができるのかというと, 核兵器の廃絶,戦争の廃棄をも含む視点で話を始めるからです.反原発派と維持派が冷静に意見を交え, 深い相互理解にいたる興味深い場にしたいと思います.私のお話は,一昨年上梓し,”プルトニウム” がこの世にもつ意味と熔融塩炉について書いた拙著「プルトニウム消滅!」に基づき,そこから発展します.
今回は,特例として講演者の他にコメンテーターをはじめたくさんの著名なゲストをお迎えしています. おいで下さった皆様には,リラックスして存分にお話をお聴き頂き, 今日のミニシンポジウムの意味を,嚙み締めて考えて頂ければと思います.